『宣戦布告』




(ああ、何だかんだ言ってもアタシやっぱり、すきなんだ)


 今までのもやもやがまるで嘘であるかのように、アタシを支配する核がすとん、と、そう認めた時、内に住まうもうひとりのアタシがそっと甘く冷たく囁く。


(だけどその想いは決して成就しないの、嫌ってほどに解ってるでしょ? 愚かなアタシ、報われない道に迷い込んだことに気付かなければ良かったのにね)


 ――内なるアタシの言う通り。気付かなければきっと幸せでいられた。だのに気付き認めてしまったのだ。想いを自覚すると同時にこの恋の玉砕を知るだなんて滑稽すぎて、悲しいを通り越して笑えてくる。


(でも。負け戦だって解ってても、アタシは折角気付いたものをムダになんかしないわ。これはもうアタシの一部。何にも代え難くて得難い、大事な、大切なモノだもの)


 これは宣戦布告。絶対にこちらを振り向くことなどないアナタと、迷走するアタシを嘲笑うもうひとりのアタシへの。
 恋する乙女パワーはどんなものをも凌駕するんだって、これから散々思い知らせてあげる。
 だからアタシはこの(こい)を突き進む。後悔なんてしない、するわけがない。


(例え行く末に待ち受けるのが不幸な終わりでしかなくとも……アタシにとってはそれを抱くことすら“シアワセ”なんだから)







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