【 Intervallo  II → III 】


 第一幕につきまして、ワタシが知っているのはここまでです。
 こうして真っ白な世界に住まわされた珍しい生き物たちは皆が皆、その身の稀有なる美しさを衰えさせることなく、他の生き物よりも長い年月を生きていくのでしょう。
 そして息を引き取るその時まで、その身は極上の美しさを持ち続ける。
 他人は――ともすれば自分も、ですが――外面でありとあらゆるものを測り傲慢にも判断を下すもの。内面がいくら老いていようとも見目がキレイであれば、そのまますべてがキレイだと認識されましょう。例え本質を見抜かぬ誤認であったとしても、そう信じられている間はそれが現認に成り得るのですから。
 まさに多くの者が追い求めて達成できなかった不老長寿を完遂するのですね。めでたしめでたしです。


 ……え? どこがめでたしなんだ、と?
 何を仰います、あの子自身が宣言しているではありませんか。「僕は嬉しく幸せに感じていることは確かだ」と。これをめでたしと言わずして何と言いましょう?
 さらに美を保ったままの不老長寿を叶えると来ていますからね。どうでしょう、皆さまも今生で一度くらい、冗談であれど願った経験があるのではないでしょうか?
 「老けたくない、若い頃に戻りたい」「キレイなまま長く生きたい」と。


 そんなことよりワタシとしては、あの人が引っ掛かりましたけれども。ええ、純白以外を拒絶し、キレイを取り戻す技術を駆使して珍しき生き物を救い続ける、という美しい怪奇も勿論ではございますが。
 あの人、一体何を「かえした」のでしょうね?


 さて、第一幕を最後までご覧いただき、ありがとうございました。
 既に肌に合わないと感じていらっしゃる方、出口は客席の左右に二つずつ、客席の後方に二つございますので、お立ちになる場合は其方をご利用くださいませ。
 それでは幕間でまたお目にかかれることを祈りまして、第二幕を開けさせていただきます。





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